高粘度液体搬送の課題とはchallenges in high-viscosity liquid transfer
食品、化粧品、医薬品、化学工業の製造現場では、高粘度の液体や固形物を含む流体を搬送するシーンが数多く存在しています。代表的な搬送対象としては以下のようなものがあります。
- 食品:チョコレート、あんこ、バター、マヨネーズ
- トイレタリー:化粧クリーム、ジェル、歯磨き粉、ハンドソープ
- 化学:接着剤、グリス、ペースト状の材料
- 環境:汚泥スラリー、粘性廃液
こういった液体では搬送時にポンプ内での詰まりや故障が発生しやすくなります。
これは、液の粘性が高いために搬送時の圧力損失も大きくなり、ポンプで移送する際にポンプに強い抵抗がかかることに由来します。
さらに、高粘度の液をポンプで搬送する際には強いせん断や撹拌が加わることも少なくなく、これにより泡立ちや品質劣化が引き起こされやすいという課題も発生します。
このように、脈動を抑えた搬送や液に優しい移送が求められる場面では、ポンプを使った液移送に苦労する例が数多く見られます。
なぜ二軸スクリューポンプが有効なのかHow twin-screw pumps work
上記のような課題を解決するために効果的なのが二軸スクリューポンプです。このポンプは以下の特長により、高粘度液体移送において非常に高い適正を示します。
脈動を抑えた移送
ポンプ内部に2本のスクリューが互いに接触しないように配置されており、これらが回転することによって連続的に液体を押し出して移送を行う構造です。これにより、流体に余計な撹拌を与えることなく、一定の流量を保ちながら移送することができます。
液質変化を起こしにくい移送原理
ポンプ内部で液に撹拌やせん断が加わりにくいため、ハンドソープのような泡立ちやすい液体や、果肉入りのジャムのように固形物を含む液体でも品質を保持したまま移送することができます。
高粘度対応
機種によっては超高粘度のものにも対応できるタイプも存在します。極端なものでは、バターや接着剤といったほぼ固体のようなものでも移送が可能です。
実際の導入事例Case study
ある工場でのフルーツソースやジャムを製造する工程では、果物の種の噛み込みによってポンプが緊急停止したり、移送中に液が泡立って後の充填工程に影響が出ることがしばしば問題となっていました。また、生産終了後の毎回の分解洗浄に時間と手間がかかるといった声もあがっており、改善が望まれていました。
この工程に二軸スクリューポンプを導入し、以下のような効果を得ることができました。
項目 | 従来ポンプ | 二軸スクリューポンプ |
---|---|---|
停止頻度 | 種の噛み込みにより2~3回/月の頻度で停止 | 噛み込みによる運転停止がなくなった |
洗浄工程 | 毎回の分解洗浄、再組立てが必要で手間がかかる | CIP洗浄により大幅に洗浄時間を短縮 |
泡立ち | 移送中に泡が発生し、充填量がズレるなどの影響 | 泡立ちが激減し、充填量が安定 |
このように、ポンプは単なる「搬送装置」にはとどまらず、製品品質と生産性を両立させるために必要な設備と言えるのです。
CIP洗浄対応で衛生的Hygienic with CIP cleaning compatibility
近年では特に食品製造の場面でポンプの洗浄性や衛生性が重視されるようになりました。二軸スクリューポンプは、密閉性が保たれた構造と高速での運転により、CIP(Clean-in-Place)洗浄にも対応が可能です。
特徴
- 液が滞留する部分のない内部構造
- SUS316Lなどのハイグレード材質を採用
- ブースターポンプなしでCIP洗浄に必要な流量を確保
これにより、微生物の繁殖防止に効果が生まれ、長期的な設備衛生の維持にも寄与します。
ポンプ選定時のチェックリストchecklist
導入にあたり、以下のような項目を事前に確認しておくことが推奨されます。
- 扱う食品の粘度、必要な流量はどれくらいか
- 移送距離や配管の太さはどれくらいか
- 温度によって液体の粘度変化が大きく生じるか
- 使用後にどの程度までの洗浄レベルを求めているか
- 固形物が入っている場合、そのサイズはどれくらいか
現場によっては他の設備(充填機や撹拌タンクなど)との連動性も考慮する必要があるため、現場の課題に即したカスタマイズが可能なポンプであるかという点も必要になります。
ご紹介した製品Recommendation

二軸スクリューポンプSQ型
高粘度液の移送に強い